八王子は、17世紀頃より群馬・桐生(きりゅう)などの織物技術の先進地や、江戸という大消費地に近く、絹織物業の隆盛から桑都(そうと)と呼ばれるほど養蚕業や織物業で発展してきた地域です。
しかし、日本の近代化を支えてきた織物産業は、日中戦争の製造販売制限規則に始まり、太平洋戦争下の織物輸出禁止、織機の軍への供出により、八王子に限らず、日本全国で貴重な織物の設備、養蚕の道具など、数多くの文化遺産と言えるものが失われていきました。
「機 資料館」は、このような歴史を乗り越え、全国で受継がれてきた貴重な織機や道具などを収蔵し、それを観た誰もが、織物文化の果した意義と歴史を理解することができるミュージアムです。
施設概要
自然にさらされた木や麻の繊維を編むことから始まった織りの歴史。
地面に杭を打ち、タテ糸を張るといった原始的手法から地機・高機へ、その手織機と関連民具などの貴重な資料を収蔵しています。
1階には糸~生地になるまでの流れを知ることができる機器を展示し、実際に体験できる設備も整えております。
2階には蚕の卵~糸になるまでの周辺機器を展示し、織物の民俗歴史や生活を感じ取ることができます。
主な収蔵展示物
東京、山形、新潟、群馬、京都、沖縄等々、それぞれの産地の特長を持つ機器を展示しています。
山形・米沢
米沢織は米沢藩第9代藩主 上杉鷹山の国おこし策のひとつであった青苧(あおそ)の縮織(ちぢれおり)から始まり、米沢はこれにより日本でも有数の絹織物の産地として発展しました。
新潟・越後
越後地方は、一年の半分近くを雪に覆われる豪雪地帯ですが、このひと冬かけて織り上げられる繊細な模様と細やかさを特徴とした反物が越後を有数の織物の産地に押し上げました。
群馬・桐生
奈良時代から絹織物の産地として知られた桐生は、伝統の中に新しい設備や技術も取り入れた桐生織で、成長と発展を遂げてきたモノづくりの歴史ある産地です。
東京・八王子
八王子を指す美称で「桑都(そうと)」と名がつくほど古くから養蚕(ようさん)や織物の長い歴史がある産地です。
京都・西陣
5世紀から織物の歴史を刻む西陣は、応仁の乱の戦火の後に、それまで避難していた職人たちが、中国・明などからの新技術も取り入れて、京織物を再興し、発展させてきた産地です。
沖縄・南風原(はえばる)
南風原は、東南アジアから伝わり琉球王国で盛んに織られるようになった「琉球かすり」など数多くの伝統織物を今に残す産地です。
展示されている織機や道具は、実際に触って感触や使い方などを体験していただけます。
蚕箔(さんぱく)
飼育する蚕を乗せる台。
竹製・藁製・角型・丸型などがある。
蔟(まぶし)製造機
折藁蔟(おりわらまぶし)を作る器具。
(上武の藁挟み部分から下にさげ藁を折り曲げていく)
繭枡(まゆます)
繭の量を量る道具。
以前は重さではなく、量で計っていた。
符割(ふわり)
綛(かせ)糸を糸枠や管に巻き取る時の用具。
強撚糸用糸枠
「お召し」に代表されるように特別強く撚った糸は、綛(かせ)やボビンに巻き取る時によじれる為頑丈な糸枠に巻く。
毛羽取機
蚕が繭を作る足場として、最初に吐き出した真綿状の糸をとる機械。
糸とり機(足踏み式)
釜で煮ながら繭の膠質をとり数本を合わせ、後部の座繰機に巻き取っていく。
座繰機(ざくりき)
糸取機(繭を煮て糸を取り出す道具)の後ろで糸を巻き上げる装置だったが、その後単独の「座繰機」として全国で多用途に使われた。
糸車
よこ糸を管に巻く、糸に撚りをかける、綿から糸に紡ぐなどに使う。
百回し
経糸づくりなど、同じ長さの綛(かせ)糸が必要な時に使用。
揚げ返し機
糸枠に巻いた糸を綛(かせ)に巻き戻す。
八丁式撚糸機
縮緬(ちりめん)やお召用の強撚糸を作るのに最も適した撚糸機のひとつ。
繰り返し機(経糸用)
綛(かせ)糸をボビンに巻き取る機械。
整経機
一度に広い幅の経糸が作れない為、何回かに巻き取り、それを並べて必要な幅の経糸にする。
紋彫機(もんほりき)
デザインを図案から意匠図に変換し、それを読み取り専用の紙に穴を開けて紋紙を作製する機械。
ジャカード機
フランスの発明家、ジョセフ・マリー・ジャカード氏によって発明された、複雑な紋様を正確に織り出す為タテ糸の開口装置を装備した機械。
八王子市北野町518-2
株式会社成和ネクタイ研究所 内
※見学はご予約が必要です。
※基本、一般公開は致しておりませんが、10名程度までの見学はお受けできる場合がございます。
お問合せは、下記電話番号又はファックスからご相談ください。
TEL 042-644-5233
FAX 042-645-2349
休館日:土・日/祝祭日/ 夏季休業日/年末年始